自然のままをカーテンに
廃棄されてしまう大量のカーテン
引っ越しの度に捨てられてしまうカーテン。
窓にかけるサイズが合わないという理由だけで、気に入っていたカーテンを廃棄することに違和感を感じたのがPALPEBRA(パルペブラ)の始まりでした。
光や温度の調節、インテリアとしても暮らしを彩るカーテン。日々の生活にかかせないものだからこそ、人にも地球にもやさしい循環が作れないだろうか。
そんな想いで、私たちのものづくりがスタートしました。
自然素材を生かしたカーテン作り
人々の生活に馴染む、心地よい素材はどのようなものか。世の中に無数ある生地をリサーチしていく中で、シンプルな問いが思い浮かびました。
「自然をそのままカーテンにできないだろうか?」
ごくシンプルでありながら、カーテンの生地としては安定性の面からハードルが高いものでした。
その想いを実現するために、生地の生産者や製造者のもとに足を運び、生地の成り立ちからカーテンの縫製まで研究を重ねました。PALPEBRAのオリジナル生地を作ることを決めて、約2年もの間、素材探しの旅を続けてきました。
たどり着いたオーガニックコットン
私たちがたどり着いた生地は、ドレープシリーズ”Cotton Tail“で使用している、オーガニックコットンです。
昆虫学者でありオーガニックコットンの生産者でもあるサリー・フォックスが、カルフォルニアで研究を続けている茶綿・緑綿で作られた生地でした。
茶綿
コットンというとイメージされるのは白かもしれませんが、白いコットンは染めやすくするために品種改良されたもので、コットンの原種は茶色い「茶綿」です。
茶綿は、陽射しが強いところで育つため、紫外線をカットする効果があるといわれており、害虫にも強いコットンです。
緑綿
そして緑綿は、サリーが茶綿の栽培中に偶然誕生した緑色のコットンボールからできたものです。
種が美しい緑色であったことから、”Sea Green”と名付けられ、サリーの手で大切に育てられてきた品種です。
それら2種類のコットンは、染める必要がないので、コットンそのものの柔らかさと色を堪能することができます。そして、色を付けるためにわざわざ漂白することがないので、環境にも私たちの体にも優しいコットンです。
PALPEBRAは、限られた量しか生産することができないこの貴重なコットンを使わせて頂き、うさぎの毛並みのような柔らかい手触りから”Cotton Tail”と名付けました。
自然のままだからこそ、その年の気候や生産時期によって多少の色の濃淡があります。私たちのコンセプトである”Living with Nature”は、それを含め自然の風合いを楽しんで頂きたいと考えています。
ドレープシリーズ”Cotton Tail”は、2種類のコットンの濃淡を活かして配合を行っています。よりインテリアとして馴染みやすい色を模索した結果、Brown・Olive・Light Gray・Dark Grayの4色が出来上がりました。
ぬくもりのある自然の色が、太陽や照明によって心地よく発色するように、ヘリンボーン模様に仕上げました。
なるべく環境にやさしく
PALPEBRAのレースシリーズ”Silver Morning“は違う色の糸の織り合わせが綺麗に見えるポプリン(平織り)を採用しています。ドレープと同様に”Living with Nature”という視点を大切にしたものづくりができないかと考え、サクラやコーヒーなどの植物の色で仕上げています。
自然そのものを取り入れること、循環を大切にすること、この2つの要素をベースに、廃棄予定の野菜や果物に含まれる成分から染料を抽出して染められた、フードテキスタイルを使用しています。
フードテキスタイルと配合しているラメ糸は「エコラメ」と呼ばれる素材を使用しています。エコラメは、木材を原料としたセルロースでできているため、生分解性がありコンポストに入れると半年ほどで土に還る素材です。
ラメ糸でしか表現できない美しい光沢は、エコラメを使用することでなるべく環境に配慮して作りました。
ものづくりから変えていきたい
現在流通しているカーテンの多くが海外で生産された生地であるため、産業と環境の側面から、より良い形があるのではないかと考えました。
日本で作られる生地は質が良く、海外のファッションブランドなどからも、非常に評価されています。世界で高く評価されている生地を、カーテン作りにも活かせるのではないかと思いました。
その中で私たちが注目したのは、地場産業の中でも高級織物として知られ、200年以上の歴史を持つ兵庫県の「播州織」でした。
播州織は先染織物といわれ、織った布を後で染めるのではなく、先に染め上げた糸を織る製法です。播州織は、多彩な色柄が表現でき深みのある色味がうまれ、そして丈夫な生地に仕上がります。
PALPEBRAの「自然の色をそのまま届けたい」という想いと、播州織の製法はマッチしていました。
そして一緒に生地作りをして頂いている兵庫県西脇市の東播染工さんは、品質の高いものづくりだけでなく、環境に配慮したものづくりを実現するために、環境保護においても高い基準を設けています。
生地の加工の過程から出る排水は、自社の排水処理設備にて処理を行ってから河川に放流しています。瀬戸内海に流れる兵庫県の河川。次世代に美しい自然を引き継いでいくために、瀬戸内海の厳しい環境基準を守っています。
ずっと愛せるカーテンになるために
こうしてPALPEBRAのカーテンは、”Living with Nature”のコンセプトのもと、生産者、生地メーカー、縫製工場の4者が繋がり、ここちよい循環を作っています。カーテン取り付け部品など、すべてを自然素材にすることは難しいものでしたが、4者が長い時間をかけて真剣に取り組み形にしてきました。
ずっと長く愛せるために。
古くなればリペアやリメイクなどしていき、長く大事にできるカーテンを届けていければと考えています。
製品に込めたストーリーを含めて、素材そのものの良さを感じて頂ければと思います。